野生の生き物をお肉として食べるジビエは、近年日本にも浸透する食文化です。古来、ヨーロッパで広がった食肉のあり方が、今日本でブームとなっています。増え続ける鳥獣をジビエにして食べることで、爆発的な増加を防げるのではと期待が寄せられているのです。少々意外ですが、実は「ウサギ」もジビエのひとつ。そのお肉の魅力と美味しい食べ方、栄養についてお伝えします。
《日本人の食とウサギ》
現代の日本ではウサギを食べるということはとても少なくなりました。しかし実は室町時代から食用として珍重されてきた歴史があります。戦後まもなくのころまでは、比較的食べられていたので、日本人の生活に溶け込んだジビエであると言えるでしょう。
けれど、畜産が盛んになるとウサギが食べられることはあまりなくなりました。時代のニーズに沿って、安定して供給できるお肉がより好まれるようになったためです。とは言え、ウサギを食べる文化は決してなくなってはいません。ジビエブームの現代にのっとり、再び注目を集めるようになってきています。
《ウサギ肉の美味しさと食べ方》
ウサギ肉は、あっさりと淡白で上品な味わいです。ジビエにありがちな特有の臭みもほとんどないので、トライしやすいお肉だと言えます。肉質は引き締まりやや固め。ゆっくりと味わうと、凝縮された旨みを感じることができます。あえて似ている食材を挙げるなら、鶏肉でしょうか。
ジビエの本場フランスでは濃厚なソースをかけて味わう料理などがありますが、ここ日本ではまず和食にするのがおすすめ。お肉自体にクセがないので、どんな調理法にもよく合います。照り焼きやから揚げ、味噌漬け焼きなどにするとたまらない美味しさです。
きちんと処理してあるウサギのお肉は、ジビエとして特別な下ごしらえをしなくても料理にできます。一般的な精肉と同じように使ってみてください。
《ウサギ肉が持つ栄養でキレイと元気を目指す》
ウサギ肉にはカリウムが豊富です。カリウムは、体の余分な水分を代謝するのに役立つ栄養素。日ごろ、むくみが気になっているという方におすすめです。また、高い血圧を正常に戻す効果も期待できるので、高血圧気味な方にもメリットがあります。
また、貧血を予防し血液をサラサラにするヘム鉄も豊富。ほかの精肉と比較して脂質、カロリーが低いため、ダイエットにも効果的です。ウサギ肉には美容と健康維持に役立つ嬉しい栄養素がたくさん含まれています。
古くから日本でも親しまれてきたウサギ肉がジビエとして脚光を浴びている今、ぜひ、一度手に取ってみてはいかがでしょう。淡白な味わいには、ワインや日本酒などお酒もよく合います。美味しく、栄養もふんだんなウサギをどうぞ味わってみてください。